アヴァンギャルドな『LARME』はまじでメディア産業のメルクマールだと思う(1)

発行部数20万を超える隔月ファッション誌『LARME』は、メディアの役割の変化を象徴していると思う。 

LARME(ラルム)020  2016年3月号

LARME(ラルム)020 2016年3月号

 

可愛い。好きすぎて語りたい。私は『LARME』が今まで起こしてきたムーブメントは超偉大だし、今後のメディア産業の最先端を切り開いていると信じています。語りたいことも語るべき(と思ってる)ことも山ほどあるから、何回かに分けて書くね。

 

何よりも強いのは編集長の求心力

『 LARME』編集長の中郡暖奈さんは、皆様ご存知の通り『小悪魔ageha』編集部ご出身。全盛期当時、中学生ながら読んでたなぁ。『LARME』の魅力の一つは、なんといってもこの方がお書きになられるコピーだと思う。

次から次へ消費される「新しさ」よりも、生活に調和する「美しさ」を、あなたには伝えたい 

LARME(ラルム)017  2015年9月号

LARME(ラルム)017 2015年9月号

 

この世界の女の子は みんな あなたの味方です 

 

LARME (ラルム)006  2013年 11月号 [雑誌]

LARME (ラルム)006 2013年 11月号 [雑誌]

 

 

 

 

相手が自分を知らないことはわかってるのに、「あなた」っていう言葉に自分が含まれているはずだとついつい思ってしまう(だってそうだよね、この世界観とこの女の子たちに惹かれて、このコピーに吸い寄せられたっていうことは、私もこの世界のなかの一員だもんね)。一番下のやつなんて、書店で見た瞬間、自分が救われたような気がして泣きそうになった。

 

情報はインターネットで不必要なほど多く手に入るから、雑誌にはそれよりも自分の居場所を求めているのかもしれない。日々当たり前のようにSNSでファッションスナップや自撮りを見ている私たちは、世の中にはいろんなおしゃれがあっていろんな派閥(?)の人がいることを知っている。ただ、自分がどこにいていいのかは全くわからない。そんな世の中で『LARME』は、「ここにきたら幸せだよ」ということを教えてくれた(似合うか似合わないかは別にしてね!)。

 

『 LARME』の企画は、編集長が持つ圧倒的な美的センスで成り立っている部分が多い(最近は編集部に人が増えたようで(奥付参照)、ちょっと毛色が違うものも増えているけれども……)。中郡さん(ファンっていうか読者は"はるちゃん"って呼んでる)たった一人の感性の周りに、共鳴する人がどんどん集まってきて、『LARME』という一つのムーブメントが作られているように見える。とてつもなく偉大。

 

 

 雑誌はマスからコアへ。今はむしろネットがマスかもね。

非現実的な物語調のカットと、レースやフリルに埋もれるみたいなお洋服、アンニュイな表情。『LARME』の世界観が、決して万人受けするものではないことは信者の自分にでもわかる。そんな『LARME』がこれだけ売れているのは、それが刺さる層にとって、世界観に没入したいという欲望を満たせる場所が他に無いからかもしれない。

 

近頃よく叩かれて(?)いるように、今のネットメディアの多くはPV数至上主義だ。稼いだい PVの数で広告収入が決まる。そのため、最大公約数的に惹きがある=「より多くの人が興味を持つ話題」ばかりが取り上げられることになる(っていうかそうしなきゃ運営できない)。

 

たぶん雑誌はこれから、「世の中のより多くの人に読んでもらうこと」ではなく「限られたターゲット層の中で100%の人に読んでもらう」ことを狙って動いていくべきなんだろうなぁ。それでいて、必要なものはムーブメントを起こす強烈な思想だと思う。

 

 

 

 

さっきから「ムーブメント」という言葉がちょこちょこ出てくる。『LARME』がただの雑誌販売ではなく「運動」である理由は明日か明後日か明明後日くらいに書く。