AKBが青春ドキュメンタリーなら、乃木坂は耽美系ホラー映画だと思った。

AKBが青春ドキュメンタリーなら、乃木坂は耽美系ホラー映画だと思った。

 

 純白で美しい少女達が、少しずつ何かに飲み込まれたりグチャグチャにされたりする物語だ。平坦な道を進むよりも、上り坂を登る方が遥かにつらい。しかも、麓からはそのてっぺんになにがあるのか見えない。「ミスト」のように、どこからか訳の分からない怪物の手が伸びてくるかもしれない。

 

 そもそもAKB48Gというシステムへの反体制として作られた乃木坂は、本質的にロックなんだと思う。乃木坂じゃないと表現できない世界観ってきっとたくさんある。

 

 「制服のマネキン」は、生駒ちゃんじゃないとしっくりこない。美少女であり美少年であり、王子様でありお姫様である。指原やまゆゆ、かつての前田敦子がやっても多分、わけがわからない。松井Jでギリギリ、だと思う。

 

 他にも「世界で一番孤独なLOVER」はまいやんじゃないとしっくりこない。彼女のちょっとアンニュイなガーリーさが、青白いセーラー服と東京という都市にとてもよく合ってると思う。ソフィアコッポラの世界観。こじはるじゃできないし、同じ乃木坂の生ちゃんでも出来ないと思う。

 

 「君の名は希望」は、乃木坂的な世界観の最終形態の一つだと思う。あくまで、一種の。生駒ちゃんに魅入ってると、隣で踊っている生ちゃんの笑顔の、あまりの純粋さに度肝を抜かれる。彼女はきっとこの曲で歌われている「君」だと思った。普通はお金を払って握手できる相手じゃないよね。

 

 「無口なライオン」は、なーちゃんと玲香の役がはまってると思った。玲香、ああいう顔しそうだし、なーちゃんはあの状況でものすごく美しいキスをする子だと思う。

 

 

 AKBは普通の女の子がアイドルになって、卒業して、ソロでやっていけるようになったら勝ちだ。ドキュメンタリーだからね。じゃあ乃木坂はどうなるんだろう。ただ誰からも知られていないだけのダイヤモンドの原石を集めて、そこからどうするんだろう。

 

 多分、卒業まで「逃げ切る」ことができたら勝ちなんだと思う。スキャンダルだとか契約解除だとかの具体的な問題からじゃなく、ホラー映画で描かれるような漠然とした怪物とか闇から。

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この子達なら、それも出来ると信じてる。